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命懸けのドライブ

2025/06/28

4月から職員になった土。

数年前に関西から来た彼は、その日の夜の自助グループで大雨の中僕を呼び出し、

「仕事頑張るから大丈夫です。施設でますね。」「そっか、頑張れ。」みたいなやりとりをしたことを覚えている。

結局1〜2週間頑張ってみたが、結局は退所した。

北九州あたりの警察で保護され、度々呼び出される電話のせいでギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子氏のシンポジウムを何度も出たり入ったりしたんじゃなかったかな。

なんの因果か、土は田中氏からご紹介いただいたケースだった。

 

次に彼と会うのは数日後で海外用のどでかいキャリーケースを両手で持って現れた。「そのケースはコロコロタイヤを転がしながら荷物を運ぶことができるんだよ。」と冗談を言ってみたが、そのコロコロが長時間の運行により粉砕していることはすぐにわかっていた。

そんな大きな荷物を運んでいる姿を見た農家のおじさんが土に駅まで送ろうかと声をかけてくれたようだ。軽トラで通り過ぎた後に、わざわざUターンして戻り声をかけ、数百円渡す気持ちが良くわかる。

 

彼のパッションは、人を動かす。

当時はギャンブルをするために、

そして今はギャンブルがやめられない仲間のために。

 

彼は4月から職員になった。

しかし大きな問題があった。佐賀は車が必要だ。

車の免許を昔持っていたようだが、今はなかった。

土の尊厳のため、理由は聞かないことにしたがおそらく彼のパッションのせいで免許証が焼けこげてしまったのだろう。

 

彼の努力もあって免許証が戻ってきた。Y川区の保護課のご担当者には本当に感謝の気持ちしかない。会社で負担しようと思っていた自動車学校の費用を保護課が見てくれたのだ。

 

だからこそ、もっと謙虚に。

初心者だからではなく、ハンドルは両手で持て。

自分の車は誰かに預けて免許取り立ての土に、意味もなく家まで送ってもらう。

 

命懸けだが、嬉しかった。

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